Amalgam Blog

2022年09月

3DCADもといInventorの便利機能を紹介します。

目次



今回は「iFuture」です。
実はこの機能、存在は知りつつも使ったことはなかったので、使いながらの解説になります。

概要としては、モデルの部分的な形状を使い回すための機能です。

例えば丸い穴を空けたいとき、Inventorには円を描画する機能があるため、すぐに実行できます。

一方で、レゴの十字軸を通す穴がほしいとき、ちまちました形状をちまちまと入力する必要があるわけです。
え、こっちにも十字穴が欲しい?
そんな時に使えるのがiFutureです。

iFutureでは作成済みの形状を登録し、いつでも呼び出すことができます。

というわけでまずは登録から

以前作ったサイクロイド減速機の入力軸にレゴ軸を使っていたため、ここから穴を拝借します。
image (23)

いつも通り管理タブから「iFutureを抽出」を選択します。
image (24)

次に左のリストから対象となるフィーチャーを選択します。
今回選択するのは十字穴を空けている押し出し2です。
パラメータ化する寸法も選択できますが今回は寸法が固定なので設定しません。
image (25)


名前を決めて保存したら登録完了です。


次に、実際に呼び出してみます。
管理タブから「iFutureを挿入」から先程保存したファイルを選択します。
image (31)


次に挿入する場所を決めます。
挿入したい作業平面をクリックし、場所と角度を決めます。
いずれも後から変更可能なので、大雑把でいいかと思います。
image (27)


次の「サイズ」の設定項ですが、今回はパラメータ設定をしていないため何もできません。
逆に、iFutureを作成する際にパラメータ設定をしておけば、呼び出す際に形状を変えることができるというわけです。
image (26)


最後に「座標位置」ではスケッチをアクティブにするか聞かれます。
挿入する場所をしっかりと決めるためにスケッチに寸法を入れる必要があるので、アクティブにするようチェックし、完了を選択します。
image (28)


スケッチ編集画面に移るので、適当に場所を決めて完成です。
image (29)

image (30)

結構便利に見えます。

デザインジェネレータから作れる歯車も、最終的にはこの機能で生成しているようです。

3DCADもといInventorの便利機能を紹介します。

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今回は「モデル状態」です。

前回までのパラメータやiPartを使えば、形は同じで寸法が異なるモデルの差分を作ることができました。

では、寸法ではなく形状た異なる差分はどうすれば...?
というのを解決するのが今回紹介する「モデル状態」の機能です。

早速見ていきましょう。
例えばこの板状の部品に
1) 丸い穴が空いた差分
2) 四角い穴が空いた差分
3) 穴の空いていない差分(このまま)
の3つを作りたいとします。
image (16)

まずはじめに左のメニューの「モデル状態:マスター」を右クリックし、新規作成を選択します。
すると最初からあるマスターモデルの他に「モデル状態1」が追加されました。
image (17)image (18)


また右にある青いペンマークは編集中のモデルを表しています。
今はモデル状態1を編集中なので、このまま四角い穴を開けます。
image (19)

これで差分の作成は完了です。
マスターを選択すると穴のないモデルに、モデル状態1を選択すると四角い穴の空いたモデルに切り替えることができます。
image (21)


この調子で丸い穴のモデルも作成しましょう
再びマスターを選択し、新規作成をした後に編集します。
image (20)

これで完了です。

これで形状違いの差分を作ることができました。

ちなみにマスターを編集したら他のモデルにも反映されるのか、といいますと、されません。(マスターなのに??)

全体を編集したい場合は灰色のペンのマークをクリックすると、全てのモデルを対象に一括編集ができます。
(ただし、それぞれのモデルに対する固有の影響は個別に対応する必要があります)
image (22)

以上です。

注意点として、モデル状態機能とiPartsは併用できません
なので「一つのモデルで形状も寸法も自由自在!」というのは作れません。

まぁ仮にできたとしても「実用的に管理するのは逆に面倒」ってやつでしょう




ただのサイクロイドには飽きたので、次行きます。

サイクロイド減速機をよく見ると、次の要素で成り立っているように見えます。
  1. 外周ピン
  2. トロコイド曲線
  3. 出力ピン
  4. 偏心カム
image (32)

このうちトロコイド曲線と外周ピンは、減速機の全体の寸法を決めるとともに動かせない部品です。

一方で出力品と偏心カムは...役割さえ果たしてくれれば、どこに配置してもよさそうです。
そういう目で見ると、この内側の空間がなんとなく魅力的に見えてきました。

というわけで遊星歯車を配置しました。(ベアリング回り未配置)
遊星ギア部分の減速比が1/3
サイクロイド部分での減速比が1/20で、合わせて1/60です。
image (33)


しばらくはこれの出力と調整をしつつ、構想中の次のモデルにつなげていきたいです。




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今回は「iPart」です。

前回紹介したパラメータ機能では、外部ファイルを通じてモデルの数値を簡単に変更することができました。
これで部品の調整はできるのですが、例えば「直径4mmと6mmの円盤が欲しい」という要求には応えられません。

というのも、モデル自体は一つしか無いので、パラメータを4mmにしたら全てのモデルも4mmに、6mmにしても然り、というわけです。

ここで役立つのがiPartです。
これは形状は同じもののパラメータの異なるモデルを一つのモデルとして扱えるようにする機能です。

それでは見ていきましょう
iPartの作成には管理タブの「iPartを作成」を選択します。
image (9)


開くとこんな感じ
image (11)

右にあるのが差分を作成するのに使うパラメータで、左から選んで追加することができます。
下にあるのはモデルの差分の名称と、それぞれのモデルに割り振るパラメータを示しています。
ここのテーブルの行を増やすことで、差分モデルを増やすことができます。

今回の例は、研究でよく使用している六角キャップボルトのネジのモデルです。
パラメータとして
a: キャップ部分の直径
e: キャップ部分の高さ
b: 六角穴の幅
t: 六角穴の深さ
L: ネジ部の長さ
d: ネジの呼び直径
を設定しています。

例えばテーブルの一番上にあるCBSS3-8は低頭タイプのもので、頭が薄いです。
image (13)


SCB3-6とかは一般的な形状のものです。
image (14)

こんな感じで「形状は同じだけど寸法違いの差分が沢山欲しい」というときには大変役に立ちます。

テーブルの編集は例によってExcelからも行えます。
image (15)

また管理がやや煩雑になりますが、テーブルで指定する寸法には前回紹介した外部から取り込んだパラメータや、それを用いた寸法を設定することができます。
(実用的に運用するのは、一周回って面倒くさい気がします)

以上です。

私が実際に使っている場面としては、例に上げたネジ部品の他に長さの違うアルミフレーム等を管理するのに使っています。

ちなみにこの機能はFusionにはありません。
私は今年いっぱいで学生ライセンスが終わりInventorが使えないくなるので、iPardもとい便利機能が使えなくなってしまいます。どうしよう...


3DCADもといInventorの便利機能を紹介します。

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今回は「パラメータ管理」です。
Fusionという、Inventorを出しているAutodeskが開発している別の3DCADにも同じような機能があります。

まずは公式の解説


Inventorはほとんどの機能に公式の解説があるのがありがたいのですが、日本語がイマイチだったりで若干読みづらいです。

概要としては
  • モデル内で指定した寸法には自動で名前が割り当てられる(d1,d2,d3...と連番が付く)
  • 寸法を入力する際、名前のある他の寸法を参照できる(d1+d2のように)
  • 寸法名と寸法のセットは外部ファイルからインポートできる
です。

モデル内の寸法は「管理>>パラメータ」から確認できます。
image (3)


開くとこんな感じです
image (4)

普通に寸法をベタ打ちした場合、見たことあるような数字がこんな感じで並びます。

一方で、パラメータを外部から取り込みガチガチに固めた場合がこちら
image (5)

下半分のグレーの部分が取り込んだパラメータで、上半分の白い部分が実際に使われている寸法です。
寸法の殆どが、パラメータに依存する計算式で表現されています。
(外部ファイルの参照は下部の"リンク"から行います。)

このパラメータはこちらのように外部から編集することができて、更新ボタン一つでモデルに反映することができます。
image (2)


ただ、パラメータを使うだけであれば実は外部ファイルは必要なく、先程のパラメータ管理画面から設定することができます。


外部ファイルを使う最大のメリットは、複数の部品でパラメータを共有できるという点にあります。
この一点に尽きます。

例えば以前作ったベアリングでは、内輪、外輪、保持器の3つの部品がありましたが、当然それぞれが組み合うように設計する必要があります。

こんなとき、ベアリングの代表的な数値をパラメータとすることで、あとから大きさなどを変更してもモデルに反映させることができます。

例えばこのベアリング
image (6)

ボールの数は20個ですが、excelの方から6個に変更して更新をかけるとこうなります。
image (7)


 不釣り合いなので、内径と外径を小さくして、あっという間に寸法違いのものができました。
image (8)


このように、異なるサイズのモデルが必要だったり、設計後に微調整が必要な際に大変役に立ちます。

特に3Dプリンタで出力する前提の場合、隙間の調整などが必要な場面が多いので、そういったシビアな箇所にオフセット用のパラメータを仕込んでおくことで後から一括で変更が効きます。






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