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カテゴリ: ルール

宇宙エレベーターロボット競技会、という子供向けのロボコンがあります。



 今年も生徒が出るのですが、例年センスのないルールだなぁと思っていたら、今年になってより一層迷走しているので紹介します。

競技概要は
  • 宇宙エレベーターによる運搬作業を模した競技
  • テザーをつたいピンポン玉を運ぶ
  • LEGO以外を一切使えず、部品制限も厳しい
と言った感じです。

 具体的なルールはこちらを見てください。表紙抜きで5ページなので、かなりあっさりしています。
今回は私目線でよくお世話になっている小学生のグローバル部門について紹介します。
(といっても他も大差ないと思いますが)


微妙ポイント①:減点が重い

まずは得点の計算方法です。
(運搬した球Aの数-落下した球Aの数)×20  ・・・(1)
+(運搬した球Cの数-落下した球Cの数)×60  ・・・(2)
+(1200-ロボットの重量[g])       
+アースポートから出発10pt(初回のみ)    ・・・(3)
+アースポートへ 帰還20pt(初回のみ)     ・・・(4)
(球Aはピンポン玉、球Cはチャレンジボールと呼ばれ直径100mmの大きめのボールです。)

 この時点でセンスないなと思うのが、球を落とした事による減点があまりに重いということです。
もちろん宇宙エレベーターという競技背景を考えると落下物の重大性はわかります。
が、うっかり誤作動で球を落とすとあっという間に稼いだ得点が尽きてしまいます。

 まぁこれはゲームバランスの調整の問題なので「じゃあなるべく落とさないように正確性を重視しよう」と対策できるので、問題はありません。
ただ競技的には球を積極的に運ぶ必要があるのに、運ぶこと自体に付けられているリスクが重いな、というのが私の感想です。

微妙ポイント②:減点に下限がない
 一応「得点が合計得点が0点未満の場合は0点とする」というルールがあるのですが、そういう話ではなく。例えば「球Aはたくさん運んだが、球Cを落としてしまったために得点が伸びなかった」ということがありえます。
 逆に考えると、例えばロボットの開発段階で「球Aは完璧に運べるようになったけど、残り時間は少ないし球Cにチャレンジするのはやめておこう。中途半端に落としたら嫌だし」となるわけです。別にストイックな記録会であれば気にしません。しかし少しでも教育目的の競技会を行うのであれば、このように挑戦すること自体にリスクをつけるルールはセンスがないなと思ってしまいます。

微妙ポイント③:ルールの目的がよくわからない
 見出しと違う話になりますが、この競技会ではロボットの重量も得点になります。1200点をベースとして、ロボットの重量[g]だけ得られる得点が減ります。例えば500gのロボットを作れば700点を得られるわけです。宇宙エレベーターという設定をうまくルールに反映していて、ルール全体の中で私が一番好きな部分でもあります。

 が、私はルールの穴を付くのが好きなのでこう考えるわけです。

重量0[g]の虚無ロボットを使って球を0個運べば、何もせずに1200点を得られる!

(リージョナル部門だと球Aが最大50個で全て運んで1000点なことを考えると、この1200点というのは下手したら優勝できる得点です。)

もちろん対策ルールはちゃんとあります。
ピンポン球(A)やチャレンジボール(C)を一つも運搬できなかった場合のポイントは0とします
 しかしながら、実際にやってみれば分かるのですが、テザーを登るロボットを作る時点でこの競技会は結構難しいです。なので大会では1/3~1/2程度のロボットがテザーを満足に登れず、いわゆる「競技にならない」状態になります。
 するとそのまま、1/3~1/2は0点が並ぶわけです。繰り返し言いますが、ストイックな記録会ではさておき、教育目的の大会でこんなことをされると、子供のモチベーションもあったものじゃないでしょう。
 とぼやいていたら、今年から新たにルールが追加されました。上の計算式にも書いてある通り、アースサポート(地上付近のスタート地点)を出発/帰還するだけで点数がもらえるようになりました。これにより「球は運べなかったけど登れるロボットはできた」というチームに点数が与えられるわけです。
 もちろんここで10点20点得た程度では、順位的に下位なのは変わらりませんが、どちらがより子供のモチベーションになるかを考えれば、無いよりは合ったほうがマシでしょう。

 とでも思ったか...?

先程のルールを良く見てみましょう。
ピンポン球(A)やチャレンジボール(C)を一つも運搬できなかった場合のポイントは0とします
当然、出発/帰還ポイントも0になります。
つまりロボットが動いても球を運べなければ得点は0で、要は従来どおりです。
何も考えずにルール作ってる感がすごいですね。


微妙ポイント④:大会当日に調整できない
 ルールというよりは運営の話ですが、文字通りです。試合で使うフィールドは、競技が始まるまで触れられません。別にフィールド自体は運営が販売しているので、競技で使うものと同一のもので普段の練習は行なえます。しかし文字通り命綱であるテザーが曲者で、使い込むほど毛羽立っていき、登りやすくなるわけです。
 登るにあたってはテザーの状態が最重要項目であるにも関わらず、そのテザー自体が使用状態によって変わるため、競技のもっとも重要な部分で「本番環境で試走ができない」ことが響いてくるわけです。
 ちなみに大会で使われるテザーは、恐らく大会でしか使っていないので比較的新品よりです。なので傾向として登りづらいです。本番で登れないロボットが毎度やけに多いのはこのあたりが原因なんじゃないのかな、と思っています。
(一応対策はあって、新品のテザーを買い続けることです。高いですが)

微妙ポイント⑤:部品の使用制限が厳しい
 再びルールの話です。ロボットはレゴ以外で作ってはいけないのですが、より具体的には今年は次のような部品が使えます。
レゴエデュケーション SPIKEプライム セット
レゴエデュケーション SPIKEプライム 拡張セット
教育版レゴ マインドストーム EV3 基本セット
教育版レゴ マインドストーム EV3 拡張セット
 ちょっと前までNXTの部品も使用可能でしたが、気がついたら消えていました。
まぁ別にレゴ教材の代理店が主催なのである程度は販促要素があっても文句は言いませんが、これ、実際にやってみると結構窮屈です。

 特に恐ろしいのが、次々回の大会からはEV3系統は使えないことが宣言されています。
実はSPIKEは歯車関連の充実度は貧弱で、ウォームギアが無かったり、そもそもサイズのバリエーションが少なかったりと、凝った機構を作るにはかなり窮屈です。
 ある程度の窮屈さは工夫する機会を生みますが、残念ながらこの窮屈によって得られる技能は「いかにレゴを上手に使えるか」です。まぁレゴが上手になってもいいですけど、それよりかは、こういったロボコンの類に参加する人にはものづくり一般を上手になってほしいなと思います。


 以上です。
 まぁ、ルールを作るのは難しいなと思いますが、こうも目的が

https://drive.google.com/file/d/1ZWR0F1T1VQyp7cxX7o7KZQYSJJaQ1JuS/view
↑こいつ

大きな変更点としては
(1)被災者の得点計算方法の変更
(2)レスキューキット追加
(3)シーソー追加
(4)救助エリアに出口追加

あとはちまちま得点変更があります
順番に見ていきましょう

(1)被災者の得点
目玉
加算点がなくなり、ライントレースなどの走行点に乗算で点が入るようになりました。
結論から言って、かなり大きい変更です

倍率はLv2で
生きている被災者:1.4
死んでいる被災者:1.0(→1.4)
生きている被災者を最低一人救助したあとは、死んでいる被災者も1.4倍になります。(Lv1は1.2倍)

一人救助する毎に、乗算されるようです。

バランス調整下手なネトゲか?

まぁラインできたら勝ちみたいな環境が崩れるので良いと思います。

被災者はしれっと銀銀黒で固定されるようになりました。これはありがたい。

ラインの満点が300点として軽くシミュレーションすると
ライン満点、被災者なし = 300点
ライン110点、被災者全救助 = 302点
なので、かなり良い方向の調整です。

競技シーン的に見ても、被災者一人追加できるかどうかでかなり得点が動くので、救助エリアまでたどり着けばかなりドキドキしなが観戦できるでしょう。
救助に力入れるチームも増えると思いますし

あと救助エリア(最後のチェックポイント以降)の進行停止のペナルティで、救助のボーナス倍率が0.05ずつ減るようになります。(Lv1は0.025)
これはちょっと少ないかな?
乗算でかかるから影響は大きいとはいえ、8回進行停止して尚点数があるのは結構緩いと思います。

(2)レスキューキット
メイズからの使者
3cm立方の青色のレスキューキットを、チームは「スタートから持つ」「ライントレース中に回収する」の二択から選べます。
これを避難場所におくと、被災者同様次の倍率が与えられます。
Lv1で持参:1.1
Lv1で回収:1.3
Lv2で持参:1.2
Lv2で回収:1.6

バランス調整下手な(ry

ライントレース中に置かれる場合は
・ラインから5cm以内
・得点要素から15cm以上
・救助エリアの直前のバンプor障害物より後
に置かれます。

回収する場合も、押していくだけで救助エリアまで持っていけるようです。Lv2ではそのあと持ち上げる必要がありますが。


(3)シーソー
なんだこれは
大会設営のことも考えてくれ。と言いたくなった。

ガッタンガッタンします。楽しい
技術的には、傾斜路の要素に加えガッタンした時の衝撃で前転するか否かという課題です。

(4)出口
出口から先にはライントレースが続いていて、それを全てクリアすることで「脱出」になるようです。
まぁ今まで逆走してた部分を、ちゃんと専用のコースを設けただけですね。


(5)得点調整
交差点:15→10
障害物:10→15
傾斜路:5→10
脱出点:20→60 - 5*進行停止数 (0未満にはならない)

まぁ特にいうこともないかと思います。

(6)その他細々
・スタートとゴールを除き、タイルは最低8枚
・橋桁によって、通行可能な幅が250mmまで狭まる可能性がある
・ラインはフィールドの端や壁、障害物、傾斜路を設置するための柱からそれぞれ10cm以上離れている(原文ママ)
障害物がラインの上に置けなくなりましたね。まぁすぐ改定されるでしょう。

・ゴールは赤色テープ
・ゴールラインで5秒停止すると「脱出」

・障害物は大きく重たいもので構成される
・高さは最低15cm
・障害物はフィールドの端および傾斜したタイルから 25cm以内には設置しない

・被災者は最大80g

・取っ手必須(ジャパンでは免除)
・競技進行停止時に操作するスイッチなどは審判からはっきり見えなければいけない(ジャパンでは免除)
僕のEV3背面設置はどうなるのでしょうか。というか被災者を背負う以上、EV3勢はかなり辛そう

・チェックポイントの場所と数はフィールド設計者が決める
運営は楽になりますが、選手の戦略性が少し出づらくなってしまった

・行動規範がルールの第1章に繰り上げられた
有名(?)な「大切なのは(中略)いかに多くを学ぶかである」が一番上に来てます。
もちろん「メンターがロボット作っちゃダメ」とかも一緒に上がってます。
わざわざ順番を入れ替えたということは、まぁモンスターが居たんでしょうね。

レスキューライン、どんどん難しくなってますよね...

特に救助エリア
・被災者が球体(大きさにバラつきあり、重さは指定なし)
・被災者が複数
・被災者が生きたり死んだりしてる
・救助の順序で得点が上下(←new!!)

何がやばいって、救助順で得点が変わるので満点を目指すには「生きてる被災者を全て救助した」ことを確認する必要があるんですよね。
もちろん、生きてる被災者の人数はインプットできないし、被災者の総数も同様。

交差点によるラントレースの難化も含め、小・中学生にやらせるような難度の競技ではなくなってきているような気がします。(そうしたいみたいな話を数年前に聞いた気もしますが...)

これを教える身としては大変苦しい限りです。
少なくとも、EV3純正だけでは厳しく。
センサーに課金しても、EV3ソフトウエアでやるには限界を超えた複雑さのアルゴリズムを実装しないとならないし。

まぁ別に、レゴの大会ではないのでこの辺は別にいいとは思いますが。
RoboCup"Junior"の大会目的は「ロボットの設計製作を通じて次世代のRobo Cupの担い手を育て、(略)」らしいのですが、現レスキューは裾野を広げると言う観点では絶望的だなと思います。
(現行の上位チームを育てるのであれば、ルールの難化は確かに効果的。)

そうであれば、HPのレスキュー紹介に載ってる
・ラインに沿って進む「ライントレース」が基本であり、初心者でも始めやすい。
はそろそろ削除した方がいいと思いますがね...

今日は、赤色のゾーン。通称、レッドゾーンについてです。

1.6.赤色のゾーン
1.6.1 黒いラインは、レッドゾーン(2階)の入り口か傾斜路の下で終わりにして、そこからは、ロボットが何らかの捜索手段を用いて被災者を見つけなければならないようにしてもいい。
1.6.2 レッドゾーンの入り口には、横25cm、幅2.5cmの反射する銀のテープが貼られる。
1.6.3 避難場所はレッドゾーンの、(入り口の角を除く3つのうちの )1つの角に設置される。
避難場所は、黒色で30cm×30cmの正方形を半分にした直角三角形である。
1.6.4 セカンダリの避難場所は、高さが6cmである。(それ以外の条件は1.6.3と同じ)
1.6.5 レッドゾーンは、入り口のみで、出口は存在しない。
被災者を避難場所に運び終えた時点でゴールとする。

昨年度ルールから変更点はありませんでした。

下線を引いたところは、大会運営側に 書いてあるのでしょうか?
見つけなければならないようにしてもいい。 
 果たして、未だにレッドゾーンまで線が引いてある大会など存在するのでしょうか?(ロボカップジュニア レスキューAで。)

深い深いなぞですね!!


すいません。どうやら、世界大会までにルールの解説??が終わりそうにありません。
まぁ、このルールは2013年度のノード・ブロックでも使いますので....許してください。。。 

それでは。

今回は、瓦礫と障害物についてです。

1.5.1 瓦礫は、減速バンプ(直径10cmのプラスチック製パイプや木製の棒を白く塗ったもの)や、直径3mm以内の木製の棒で構成される。
これらの瓦礫は、アリーナ、通路、傾斜路に置かれる事がある。
ロボットは、これらを乗り越えるか押しのける。 
1.5.2 瓦礫は、部屋や通路や傾斜路の壁に瓦礫がついた状態で置かれる事がある。 
1.5.3 障害物は、煉瓦の塊やブロックなどの重いもので構成される。
障害物は、アリーナに置けるが通路や傾斜路には置けない。
競技中に、障害物を倒したり動かしたりしても 、その競技が終了するまではそのままとする。

こんな感じでしょうか? 

1.5.1の減速バンプは、↓ で、その周囲にあるものが、「木製の棒」ってやつです。
 バンプ
あれ?木製のサイコロのようなブロックは置いてはいけませんでしたっけ??

1.5.3 に、「煉瓦の塊やブロック」と書いてありますが、最近の世界大会では、どうやら砂の入ったペットボトルが多用されているようです。因に、ノード・ブロックは煉瓦。ジャパンは、四角い石のようなものでした。
関東障害物 障害物JAPAN
ノード・ブロック   ジャパン


1.5.3の赤字部分は、2011年度位、ローカルルール対応していたものをルールで明確化といったところでしょうか?

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